本国より遅れること4ヶ月、ようやく公開された「モアナと伝説の海」を観てきました!
結果…あまりに心打たれ、すぐ翌日また観に行きました(・∀・)

いろんな意味でディズニーど真ん中な作品なんじゃないかと思います。
考えたことをつらつら書きたいと思うので、ネタバレ含む本文は続きから↓ 

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 モアナの監督を務めたのは、ロン・クレメンツとジョン・マスカーの2人。
このコンビはこれまでに「リトル・マーメイド(1989)」「アラジン(1992)」「ヘラクレス(1997)」「トレジャー・プラネット(2002)」「プリンセスと魔法のキス(2009)」を制作。ディズニー第二黄金期の立役者が第三黄金期に登場という時点で、傑作の予感しかしないほどです!笑 

 特にプリキスは手描きの手法を復活させた作品として知られていますが、今回のモアナはCGを使用。インタビューで「今回描きたかった海を表現するためにCGを選んだ」と語っていたのですが、約30年前に手描きで海中の世界を見事表現していた監督の選択だと思うと重みがあります…
 ファインディング・ドリーで併映された「ひな鳥の冒険」でも海や光が本当にきれいで「これはモアナが楽しみだなぁ」と思っていたのですが 、想像以上の美しさでした。
手描きの技術が用いられたマウイのタトゥーもディズニーらしさが溢れていてお見事でしたよね!



そして今作でこれまた素晴らしかったのが、音楽
鑑賞以来、ずっっっとサントラをリピートしています…この音楽を浴びたくて映画館に今すぐ行きたくなる!笑

モアナの音楽は、3人のアーティストによって生み出されたんだそうです。この組み合わせが面白い!
 1人目が、リン=マニュエル・ミランダ。ブロードウェイの「ハミルトン」などミュージカル界で大活躍している方だそうで、なんと人生の転機は「リトル・マーメイド」を鑑賞したことだったとか。『俺のおかげさ』なんかもこれまでありそうでなかった現代受けするメロディですよね〜
 2人目はオペタイア・フォアイというサモア出身の方。古来のポリネシアを表現するためには不可欠な人選!祖先が奏でていた『もっと遠くへ』が大好きなんですが、その中のポリネシアの言語(トケラウ語)部分はこの方本人が歌っているらしい!
 最後の3人目はディズニー音楽経験者であるマーク・マンシーナ。「ターザン」や「ブラザー・ベア」などを手掛けてきた作曲家です。



サントラを聞き直すと発見することもあり、曲ごとに少し振り返ってみました。

*タガロア神への祈り(Tulou Tagaloa)
 突然トケラウ語ではじまるオープニング。私アナ雪のVuelieも大好きでして…こういうのに弱いw
一番始めの声は"Tulou, Tulou, Tagaloa"と言っています。邦訳を見るに、「タンガロアよ、願いを叶えてくれ」という意味の模様。
 タンガロアとはポリネシアに伝わる創造神で、天や地、人間を生み出した者であり海の神なんだとか。モアナの制作チームはサモアなどに研究で訪れたらしく、ちょうどこの地域で信仰されている存在です。首長の祖先を辿るとタンガロアに行き着くとも言われるようで、モアナの血筋も関係あるのでしょうか?
ちょっと解釈が難しかったのですが、この曲は民族の信仰心であり航海をする理由そのものなのだろうなと感じています。


*無垢な勇者(An Innocent Warrior)
 モアナが海に「心」を渡されるシーンの印象的なこの曲。
生き物として描かれている海が直接語りかける貴重な場面でした。
これを見ていたタラばあちゃんは、島が死にかけていることを知りながら「わかるとき」が来るのを十何年も待ち続けていたんだろうなぁ…
 モアナの中にはちゃんとこのメロディが残っていて、今度は自分からテ・フィティに歌いかけます。彼女がプリンセスではなく”勇者”であるとはっきり示す曲。


*いるべき場所(Where You Are)
ココナッツ最高!!!
網もつくれるし、果汁はあまいし果肉もおいしいし葉っぱで火もおこせるし!
…という気持ちになるこれまたとても好きな曲です笑
 モアナの人生が垣間見れる数分間。お父さんは島人に先んじて歌うけれど、モアナは大きくなってもまだみんなに続いて歌う側なんですよね。最終的には「それは違うよ」と言いたくなる内容の歌だけれど、モアナはだいじなことは既にちゃんと分かっていたからこそ”島の人たちといつまでも暮らし” ”教えを守る”ことで新しい未来を切り拓いて”いるべき場所”をいつもそこに生み出すことができたんじゃないかと。
そしてタラばあちゃんはここでもう最重要事項をモアナに説いています。「ささやく声は 本当の自分よ おまえなの」という部分。でも皆の期待を一身に背負って必死のモアナにはまだ本当の理解が難しい…


*もっと遠くへ(We Know The Way)
 トケラウ語の歌詞"Aue! Aue!"(Oh! Oh!)と英語の"Away, Away!"(もっと遠くへ!)が入り交じる感じがたまらない!笑
 モアナの一族のDNAを伝えるこの歌が彼女を目覚めさせ、そしてフィナーレで「モトゥヌイのモアナ」ではなくなったモアナが皆を率いる時にも流れる超重要な曲。
祖先の物語を忘れることなく、故郷を胸に次の島へ。一族を愛するモアナにとって伝統こそが答えだったのです。泣ける…


*どこまでも〜How Far I'll Go〜
 最初にモアナのCMを観たときは本当にびっくりしました!とても良かった。
おかげで「モアナまだ観てないけど曲良いよね」という層がかなりいる気がします、皆観に行こう!笑
屋比久ちゃんの大抜擢が観ている側も運命的に思えて素敵ですよね。昨日のSONGSも最高だった〜
 鑑賞前から「リプライズで完成する」という感想を何度も目にしていたのですが観て納得。
『パート・オブ・ユア・ワールド』を彷彿とさせますね。リプライズで号泣しました
憧れが決意へ、そして確信へ。
もう旅に出る時点で「モアナ、最高!!!」という気持ちになりました。笑


*俺のおかげさ(You're Welcome)
 軽妙なノリの、今までになかったような曲。2016年のディズニー!!
それまで悪役かのように描かれて来たマウイを一気に愛すべきキャラクターにひっくり返します。
"You're Welcome"の台詞も終盤で再び使われて、これがぐっとくる…!
 「釣り針を持つ英雄」としての姿に固執するマウイと、いつも彼の胸にいる「本当の自分」であるミニマウイ。この辺がとってもユーモラスに描かれているのがさすが
 そういえば、数少ない気になる点が「カナヅチ」と自分で言っているにも関わらず逃げようと海に飛び込んでみたりしていた部分。船に戻されると半分分かっていながらの行為だったけれど…
マウイが泳げないのは、小さい頃海に捨てられた時の恐怖からなのかなぁなどと思ったりなんだり。
 

*シャイニー(Shiny)
 その名の通り、ギラギラ(笑)のヴィランソング。これもなんだか新しい!
考えてみると、今作はテ・カァも結局本当の姿に戻る訳でヴィランらしいのはタマトアだけ。それもその後の哀愁ただよう姿まで描かれたりと結構ソフトですよね。(カカモラはくくりがわからない笑)
しかもカニという殻に覆われた生き物がさらに煌びやかな装飾で自分を飾りこむという明快な比喩。
 ヴィランズ側の歴史や事情もしっかり描かれる傾向が続いていますが、タマトアは位置づけもタッチもかなり軽かった印象。物語のアクセントとして必要だった…
あとラロタイという舞台の登場が突然かつ現実離れした環境で驚いたのですが、冒頭語りの魔物が生まれたくだりで何か言ってたかな?


*パーテー・ドラム・ダンス(Logo Te Pate)
 "Pate"とは、ポリネシアで使われる木をくりぬいて作った割れ目太鼓のことだとか。
洞窟のシーンで確かにそれらしき太鼓を叩いていたけれど、あれは木だったのかな…?もう一回観なくちゃ笑
 ここの一連のシーンがまた最高ですよね!心を許したマウイと、伝統航海術を教わるモアナ。
ベイマックスやらライオン・キングやら挙げればキリがないですが 、曲に合わせて主人公が成長していく展開が大好物!笑 もっと続いて…と思う切なさまで含めてたまりません
元は先述のオペタイア・フォアイ率いるTe Vakaというバンドで発表した"Logo Te Pate"という楽曲で、オリジナルだと映画版より長く聴いていられるのでおすすめです


*モアナ(I am Moana)
 「私はモアナ」、この一言のためにこの映画があったと言っても過言ではないはず。
あまりに美しい宣言でまたまた涙が
タラばあちゃんの語りかける言葉もすごいですよね。
「モアナ、遠くまできたね。さあ、聞くんだよ お前は誰か」
「私は…」
そして自分を覆っていたものをゆっくりと剥がすモアナ。
"How Far I'll Go?"の答えにたどりついて、もう一度確信と共にそのメロディが歌われるこの演出はずるすぎる!!
 

 島の生死がかかっている瞬間にも関わらず、「帰るならついていくよ」と言ったおばあちゃん。
だからこそモアナは、全て自分自身が選んできたからここにいるんだと気づけるんですよね。
振り返ると、そうして育てられたモアナ自身もマウイに同じように問いかけ自主的な選択を促していました。つり針がなくても「あなたはマウイ」と伝えていました。
 モアナはずっと大切なことを知っていて、きっとだからこそ彼女は勇者だった。そして、祖先から引き継いだ"We Know The Way"を奏でながら航海に出る…なんて素晴らしい映画なんだ!!!!!!


 島の頂上、重ねた石の上に貝殻を置くというのもこれ以上ない結論ですよね。もうこの上に石が置かれることはなく、モトゥヌイの人々の誇りや愛は高さを増すのではなく海を越えて広がっていく。故郷のてっぺんには、運命を教えてくれた海からの贈り物。
 もとは、閉ざされた海に思いを馳せながら頂上で石を積んだだろう祖先。モアナは伝統を復活させたことで民を守り新しく生きる道を拓く偉業を成し遂げました。なんて素晴らしい映画なんだ!!!!!(2度目)



まだまだ言い足りないこともあるけれど脳みそが追いつきません…ヘイヘイについて考察されてる方はいないかな。せめてあと一度は劇場で観たいところです。
ありがとうモアナ。ありがとうディズニー! 

<2017.10—追記>
映画公開から半年以上経った今でもこの記事を読んでくださる方が多く、本当に嬉しい限りです。
皆様ありがとうございます!

実は先日愛知を訪れた際に犬山市の「リトルワールド」という野外民族博物館へ行き、ひっそり置かれているPateを発見しました!!!写り込みが多かったので見苦しい写真で申し訳ないですが、こちら↓
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嬉々としてドコドン!と叩いてきました
モアナの先祖のものとはやや形が違いますが、こうして文化を感じられると嬉しいですね〜
もしも行くことがあればぜひ叩いてきてください


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